神戸市の「多死社会への対応」

神戸市の「多死社会への対応」

1. 多死社会の現状と神戸市の課題
死亡者数の増加と多死社会の到来: 日本国内の死亡者数は令和4年に約166万人に達し、統計開始以来最多となりました。2040年には168万人に達すると予測されており、本格的な「多死社会」を迎えています。
神戸市の状況: 神戸市においても令和4年の死亡者数は1万8,369人と、令和元年に比べて2,000人以上増加しています。
顕在化する課題: 孤独死に伴う縁者探しや無縁遺骨の引き受け増加、火葬場の不足などが課題となっています。特に、法律に基づき市が対応した無縁遺骨の件数は、令和2年度の80件から令和4年度には161件へと倍増しています。
2. 神戸市の主な取り組みと今後の施策
神戸市では、人々の死生観や家族観の変化(身寄りがない、子や孫に負担をかけたくない等)を踏まえ、以下の対策を講じています。
墓園の多様化:
従来の合葬墓に加え、一定期間後に合葬墓へ移行する「期限付き墓地」の新設。自然回帰志向に応える「樹林葬墓地」の整備。
エンディング・サポート事業(令和6年度予算案に計上):
頼れる身寄りのない低所得の高齢者を対象に、自身の葬儀や納骨について生前に契約できるよう、行政が手続きを支援する仕組みです。
「無縁遺骨」として扱われることを防ぎ、個人の尊厳を守るとともに、市民の不安解消を図ります。
残骨灰の適正処理と有効活用:
火葬後の残骨灰に含まれる有価物(貴金属等)を売却し、その収入を老朽化した火葬炉の改修など、斎場全体の環境整備に充てています。
3. 遺留金への対応と国への要望
身寄りのない方の死亡増加に伴い、遺留金品の取り扱いも大きな負担となっています。
遺留金の増加: 神戸市が保管する遺留金は、令和2年度末の約6,604万円から令和4年度末には約1億75万円へと増加しています。
条例による適正管理: 平成30年に「神戸市遺留金取扱条例」を施行し、法的根拠のなかった遺留金の保管を適正化しました。また、相続人調査に要する費用の一部に遺留金を充当する運用を行っています。
国への制度改善要望:
現在は相続人のいない遺留金は最終的に国庫に帰属しますが、実務を担う自治体の裁量で対策費用に充てられるよう、弾力的な運用の実現を国に求めています。
遺留金の帰属先を地方自治体へ変更することについても、引き続き要望していく方針です。
4. 結論
多死社会において、自治体には「尊厳ある人生の最後」を支える役割が求められています。神戸市としては、生前からのサポート(エンディング・サポート事業)や墓地の多様化、そして遺留金処理の適正化を並行して進め、増え続ける無縁遺骨や行政負担への対応を強化していく構えです。
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