未来都市創造に関する特別委員会 行政視察(広島、丹波篠山)

未来都市創造に関する特別委員会 行政視察(広島、丹波篠山)

(1)広島電鉄㈱ (12 月 12 日(月)14:00~16:00)
広島電鉄では、観光客の利便性向上と地域内の回遊性を高めることを目的に、広島版 MaaS「MOBIRY(モビリー)」の提供を開始しています。また、今年3月から9月までの6か月間、街のガイドブックアプリ「ekinote(エキノート)」を活用して、地域観光や地域 DX の促進効果を検証する実証実験に参加し、新たな賑わいの創出や効果的な情報発信等につなげていくとしています。
このほか、被爆都市としての歴史を後世に伝えていくことを目的とした「被爆電車運行プロジェクト」も行っています。
そこで、今後、神戸で歴史的資源を活かしたまちづくりを行うにあたって、移動手段の多様化や効果的な情報発信・手段を検討する参考とするため、広島電鉄の取り組みとその効果・課題について調査します。

《MOBIRY(モビリー)について》
広島電鉄では、2020 年3月より、広島エリアにおける MaaS の取り組みの第一段階として、スマートフォンで乗車券を購入・使用できるデジタルチケットサービス「MOBIRY(モビリー)」を開始しました。
MOBIRY は、インターネットでチケットが購入でき、スマートフォンで乗務員に見せるだけで、広島市内・宮島エリアの路面電車・バス・フェリー・ロープウエーなどを時間の制限なく自由に乗り降りできるデジタルチケットです。

《ekinote(エキノート)について》
ekinote は、全国約 9,100 の鉄道駅を起点に、様々な情報カテゴリー(交通・観光・グルメ・ショッピング・自治体情報等)を一元化して、各駅や駅周辺の街の情報を提供するガイドブックアプリで、これまでの単純なインターネット検索や分野ごとの特化型アプリではできなかった、街の魅力の”偶然の発見”を誘発することで地域振興に貢献しようとするものです。ここから生まれるユーザー基盤やデータを全国の企業や自治体が地域振興に役立てるための「地域振興プラットフォーム」の開発・運用も行われ、人と地域を繋ぎ、地域振興に資する新たな価値の創出を目指しています。

《被爆電車運行プロジェクトについて》
被爆電車特別運行プロジェクトは、被爆者の高齢化が進む中で、未来の世代に平和について考えてもらうきっかけとするため、2015 年にスタートしました。原爆の災禍をくぐり抜けた車両「653号」で広島の街をめぐりながら、車内に設置された大型モニターで、運行経路上の主要スポットの戦時中から戦後復興の歴史などを、写真や映像、アナウンスにより紹介しています。コロナ禍で一般参加による乗車体験を中止していた 2020 年からは、被爆電車が被爆地・広島を走行する模様をインターネットによるライブ配信で国内外に届けています。

(2)まちなか西国街道推進協議会 (12 月 13 日(火) 9:30~11:00)
「まちなか西国街道推進協議会」は、西国街道の歴史と文化を活かした新たな賑わいづくりを目
指して活動している市民団体です(詳細は以下参照)。
今後、神戸において、西国街道等の歴史的資源を効果的に活用したまちづくりを行うための参考とするため、協議会発足の経緯や活動内容の意義や効果・課題等について調査します。
《まちなか西国街道推進協議会について》
まちなか西国街道推進協議会は、広島駅周辺から八丁堀、紙屋町、平和記念公園をつなぐ西国街道を、後世へと伝えるべき文化と歴史を残す「まちなか西国街道」として、教育事業、賑わいづくり、さらに道路整備の提案や、周知事業などを行う市民団体です。
様々な背景を持つ地域住民と有識者が集まり、実際にまちを歩いて西国街道への理解を深め、課題や情報を共有しながら、10 年後、20 年後の未来を見据えて活動しています。
《プロジェクトについて》
まちなか西国街道推進協議会では、「見える(可視化する)」「伝える」「創る」「つなぐ」というコンセプトで、西国街道に関する様々なプロジェクトを行っています。

 

◇西国街道を可視化する~見て歩ける『街道』へ◇
広島地中心部では、原爆により江戸の風情を残す町並みは失われてしまいましたが、まちなか西国街道推進協議会では、この道筋こそ江戸時代からのまちの歴史を遺し伝える史跡であると捉え、西国街道についてより多くの方々に知ってもらいたいという想いを込めて、会設立の当初から「西国街道の可視化」を目標とした様々な活動を行っています。

 

◇西国街道を伝える~まちの歴史を伝える出前授業◇
多くの城下町では、時代の面影を映す古い建築や石塀などが残され、子どもたちが学校へ通う日常の中でさえも、歴史を伝える役割を担っていますが、原爆という戦争の傷跡は、広島のこどもたちからまちの歴史を一瞬で奪いました。そこで、まちなか西国街道推進協議会では、広島の子どもたちに「ひろしま歴史再発見・出前授業」を行っています。

◇西国街道で創る~「西国街道ブランド」◇
「ひろしま西国街道ブランド」は、江戸時代から広島の文化と商いの中心として栄えた西国街道を新たなまちの資源とし、その歴史や賑わい、街に息づく伝統文化を、現代を生きる人々の暮らしや次世代へ伝えるため生まれたブランドです。まちなか西国街道協議会では、西国街道に息づく伝統工芸や酒蔵等とのコラボにより、多くの「西国街道ブランド」を送り出しています。

◇西国街道を楽しむ~共創が歴史を面白くする◇
まちなか西国街道推進協議会の活動で難しいことの一つは、「見えない歴史」を語り継ぐということです。そこで 3 月 15 日を「西国の日」と決め、毎年 3 月 15 日近くの週末に、まちの見えない歴史を「見て、感じて、楽しむ」イベント『西国茶や Bar』を開催しています。当日は、できるだけ当時の文化や風習を感じることができる食事やワークショップを行っています。

(3)㈱NOTE (12 月 13 日(火)15:00~17:00)
2009 年に丹波篠山で一般社団法人として発足した NOTE は、「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる」という理念のもと、地域に眠っている歴史的建築物の再生を通じた地域おこしの取り組みを行っています。現在は、調査・研究や歴史的資源を活用した制度設計、政策提言を行う一般社団法人ノオトや、ノオトが開発した事業モデルを加速させ、エリア開発事業を展開する㈱NOTE、エリア開発事業に携わる人材を育成する NIPPONIA 大学など複数の事業体で活動し、全国各地で様々な歴史的資源を活用したまちづくりを手掛けています。
今後、神戸において、歴史的資源を活用したまちづくりを行うための参考とするため、取り組みの経緯やまちづくりの実績、効果・課題等について調査します。

《一般社団法人ノオトについて》
一般社団法人ノオトは、「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らしをつくる」をコンセプトに、歴史的建築物等を次世代に継承するため、その土地の歴史文化に根ざして地域の未来を拓くための理念、理論、手法について調査・研究を行うとともに、古民家等の歴史的資源を活用した分散型エリア開発事業の制度設計に取り組み、政府や自治体に対して政策提言を行っています。

《㈱NOTE について》
㈱NOTE は、一般社団法人ノオトが開発した事業モデルを収益化するため、2016 年 4 月に設立されました。古民家等の歴史的建築物の活用を起点に、その土地の文化資産を尊重したエリアマネジメントや、それぞれの地域に合わせた産業の創出とそれを自走していく仕組みづくりなどを実践し、エンドユーザーが宿泊・田舎体験・短期滞在・長期滞在するなど街全体を観光資源にする取り組みを行っています。
《篠山城下町ホテルについて》
一般社団法人ノオトが、古民家の再生等により、魅力的な城下町の街並みを実現するとともに、限界集落や農村地域の再生に大きく貢献した事例。

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