災害時要援護者の個別避難計画:現状と未来への課題

災害時要援護者の個別避難計画:現状と未来への課題

1. 個別避難計画作成の進捗状況
神戸市では、災害時の避難に支援が必要な「要援護者」約21万人に対し、優先順位を定めて個別避難計画の作成を進めています。令和5年時点の主な進捗は以下の通りです。
24時間人工呼吸器装着患者: 対象120名のうち107名の作成を完了(令和5年7月末時点)
重症心身障害児者: 対象1,021名のうち105名の作成を完了(令和5年11月末時点)。
ハザードエリア居住の要介護5の方: 令和5年度より本格的に計画作成に着手。
2. 計画作成における課題と対策
特に作成が急がれる重症心身障害児者の計画については、以下の課題が挙げられています。
主な課題: 避難方法や避難先に求める条件の複雑さ、あらゆる災害(地震・風水害等)を想定する必要があること、また本人や家族が計画作成の意義を十分に理解し、申し込みに至るまでの負担感などが課題となっています。
具体的な対策:
医療情報登録制度の活用: 医療情報を災害時にも活用できるよう、登録者への計画作成案内を強化しています。
関係機関との連携: 障害福祉サービス事業所や学校に対しても、計画作成の支援・要請を行っています。
福祉避難所の拡充: 受け入れ可能な施設の新規指定を進め、受け入れ態勢を整えています。
3. 避難体制と運用上の論点
実際の避難行動において、特に「直接避難」と「家族単位の避難」について議論が行われました。
福祉避難所への直接避難: 現状では、施設の被災や人員確保の遅れ、収容力の限界などの懸念から、一旦一般避難所でスクリーニング(選別)を行い、適切な2次避難先へ移動する運用が原則です。しかし、移動困難な方にとっては負担が大きいため、緊急避難所を経由しない直接避難の仕組み(特別支援学校の活用など)について、他都市の事例を注視しつつ研究が進められています。
家族避難への配慮: 現状のガイドラインでは、より多くの要援護者を受け入れるため「介助者は原則1名まで」とされていますが、兄弟姉妹がいる家庭など、家族単位での避難が困難なケースがあります。市側は、事情に応じて柔軟に対応していく必要があるとの認識を示しています。
4. 今後の方向性
市は、実際に避難を経験した当事者や家族からの「良かった点」「問題と感じた点」などの意見を反映させる仕組みづくりを検討しています。今後も市民の安全を第一に、作成時の負担感の解消とスピード感を持った計画策定、および実効性の高い避難体制の構築を目指す方針です。
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